ツアーの特徴
京都御所、妙心寺、平等院、清水寺、八坂神社など京都を中心とした名だたる文化財、神社仏閣の修復に長く携 わってきた修復師 轡田幸恵氏が指導にあたります。
平面だけでなく立体物の修復など、繊細な作業が要求される修復師。
今回は、立体物の修復をイメージし、宇治ならではのお茶を入れる”茶筒 ”を鳥居や柱に見立て修復体験を行なって頂きます。
そして、茶筒には宇治や宇治茶に通ずる”鳥獣戯画”や”平等院の絵画”を描き、色をのせていきます。
平面ではなく曲面への描画や一つ一つの丁寧な作業、気持ちの向け方など、没頭の時間をお楽しみください。
仕上がった茶筒には、宇治茶(10パック入り)のお土産を入れてお持ち帰りいただけます。ご自宅用でも、お土産でもお喜びいただけます。
ツアーの流れ
絵画や古文書、建造物や仏像などの文化財の傷みを調査・診断をして、修復を行う仕事です。
現在の保存状態で維持するために、必要に応じた修復技術を使います。 仏像や寺社などは、大規模なものになると工事に何年もの期間を要することがあります。
プロフィール
小学生の頃に近所の子どもアトリエに通い始めたのが絵を描くきっかけとなりました。
楽しかったのでずっと続け、中高生の頃は油絵を、そして大学で日本画を専攻しました。漠然と日本画の雰囲気に魅力を感じていたのだと思います。
卒業後、西陣できものを作る仕事に就きました。その頃、書画を書くことに使う絹地の絹本(けんぽん)に描けるように掛け軸の制作を始めました。その後、縁があって文化財の修復に携わることとなり、現在に至ります。
きものの柄を考えたり、日本画、掛け軸などの制作、また文化財では社寺仏閣の絵画や彫刻の彩など、色々と制作してきましたが、どれも勉強になる事が多く、何より面白くて楽しかったです。
そんなことを少しでもお伝えできればと思います。
嵯峨美術短期大学日本画科卒業、連展会員(日本画)
近年の画歴
宜秋門金具墨差し 京都御所 金具墨差し/蓮華定院 扉絵新調/中山寺観音堂天井彩色/妙心寺仁王像彩色/鳳凰天井画新調/正恩寺、連水寺剝落止 補彩 雲表具絵画作成/極楽寺聖徳太子像彩色/浄土寺手水舎彫刻彩色/下鴨神社本殿獅子狛犬修復/東本願寺御影堂金具塗装/仁和寺金堂胡粉塗/平等院羅漠堂阿像修理/清水寺阿弥陀堂奥之院彩色/檜尾神社本殿保存修理/棚倉孫神社松梅寺額装絵画新調/八坂神社 大宮看板塗装/名草神社拝殿 本殿 塗装/宝厳寺観音堂彩色/熊野那智大社 拝殿 塗装/火走神社本殿塗装/延暦寺 根本中堂 塗装彩色
文化財に直接手を加えるということは出来ませんが、宇治ならではの京都・宇治の名産、宇治茶を入れておく円形の容器”茶筒”の円柱を文化財の鳥居の柱に見立てて修復の擬似体験を行います。
描く題材は、宇治に因んだ題材を2種類準備しており、好みのモチーフをお選びいただきます。
モチーフの1つ目は日本ではじめてお茶が作られ、その後宇治にお茶をもたらした京都市にある高山寺の絵巻物"鳥獣戯画"です。
京都のお土産物にもよく見られるポピュラーで人気のある題材です。ウサギ、蛙、狐など先生の見本を参考に描いていきます。
本来、絵巻物は水墨画で描かれた白と黒の世界観ですが、今回は和の色味の画材を使って色付けをしてオリジナルの色彩で表現も楽しみます。
鳥獣戯画
京都市右京区の高山寺に伝わる全4巻からなる絵巻物です。国宝に指定されています。
各巻の間に明確なつながりがなく、筆致・画風も違うため1101年~1300年の幅のある年代に複数の作者によって描かれたと言われています。
時代の情勢や社会を、蛙、ウサギ、狐などの動物を擬人化して描いたもので、効果線など現在の漫画にも用いられることもあり、「日本最古の漫画」とも言われています。
モチーフの2つ目は体験場所からも歩いて8分ほどの場所にある、「平等院」の鳳凰堂堂内彩色を題材にします。
平等院鳳凰堂は日本の硬貨10円玉の裏表面にも描かれているとても有名な場所です。
平等院鳳凰堂の絵画の特徴
繧繝彩色(うんげんさいしき)という技法
いくつかある彩色の技法の中でも、極彩色は、重厚感ある彩色を行うもので、木地に貝の粉末で作った顔料を何層にも重ねて、重みのあるしっかりとした下地を作っていく彩色の技法を言います。その重層な下地の上から水絵の具などを使って、美しい色合いを作っていきます。この極彩色を使った技法の中でも、色の濃淡を順に組み合わせて、グラデーションをぼかさずに段階的に表す彩色を繧繝彩色(うんげんさいしき)と言います。世界各地で古くから用いられていて、非常に効果的な彩色・塗装の技法です。立体感や彩色の華やかさを表現する古典的な技法です。仏教絵画や仏像の彩色、寺院建造物の装飾などに取り入れられています。
平等院鳳凰堂
1053年に建てられ、屋根の上に鳳凰が載っていることや、建物の形が羽を広げた鳳凰の姿に似ていることから、後に鳳凰堂と呼ばれるようになりました。鳳凰堂の内部には、中央に国宝である阿弥陀如来坐像が安置され、周囲の壁面には雲の上で楽器を演奏したり踊ったりしている国宝雲中供養菩薩像が祀られています。堂内の壁扉に絵を描いて荘厳するのに加え、柱や天井に渡る建築部材全てに繧繝彩色の宝相華文様などで装飾し、華やかさを極めていました。
先生の見本は大変美しく、一見描くことが簡単に見えますが、実際には曲面に形を描くことや、色をムラなくのせることは難しく、一つ一つの作業に職人の技術を感じる瞬間でもあります。
仕上がった作品はとても可愛く仕上がりますが上手く描こうというよりも、その時間に没頭することで、路地裏ジャーニーの体験のテーマでもある、「没頭し、今の自分に気づく時間」、”禅”を体感していただければと願います。
仕上がった茶筒は、宇治茶(10パック入り)のお土産を入れてお持ち帰りいただけます。旅の思い出としてご自宅用やお土産としてもお喜びいただけます。
ツアーの詳細