ツアーの特徴
日本画は、千数百年以上続いている日本在来の技法による絵画様式が基本となっており、その画材も歴史に培われた伝統的な素材です。 紙や絹、木、漆喰などに、墨、岩絵具、胡粉、染料などの天然絵具を用い、那(にかわ)を接着材として描く技法が用いられています。日本画用の材料は決して扱いやすいものではなく、 また、その製法を習得するにも時間と根気が必要になります。
今回は約3時間での体験の中で、宇治ならではの宇治茶の花、宇治川の鵜飼の鵜、宇治神社に因んだ兎の3つ中から1つ題材を選び、日本画を描いていきます。
ツアーの流れ
彩色には、古来から伝わる水干絵具を使用します。
日本画で使われる微粒子の水干絵具を絵皿に出し、まずは指や紙に挟んで潰して粉状にします。そして膠(にかわ)を加えながらペースト状にし、その後好みの状態まで水を加えながら絵の具を作ります。
胡粉(白の絵の具)は乳鉢で作ります。
胡粉は乳鉢で粉になるまですり潰し、画面と絵の具を接着する動物の皮を加工して作られる画材、膠(にかわ)を加えて団子状にしてから、「胡粉百打ち」と言って胡粉の粒子と膠が馴染むまで絵皿にたたきつけます。
それからその団子を水を加えながら描きやすい濃度まで指で溶かしていきます。
絵の具の準備ができたら、後は描くだけです。
今回の体験では色紙に描いていきます。
日本画は制作工程がいくつかあり、仕上がりまでに時間もかかります。
1つ1つの工程に集中し、没頭して作品を仕上げると共に、路地裏ジャーニーのコンセプトである没頭する時間を堪能しながら「いまの、自分」に気づく旅にしていただければと願っています。
1.京都・宇治の名産、宇治茶の花
京都・宇治の名産でもあり、日本の三大銘茶である宇治茶は鎌倉時代と言われる西暦1300年頃、中国の栄西から茶種をもらいうけた明恵(みょうえ)が宇治に伝えたのが始まりとされています。宇治茶の木には白くて可愛い花がつきます。そのお花を題材に描いてみましょう。
2.宇治川の鵜飼の鵜
宇治川の鵜飼は、平安時代と言われる西暦1000年前後にはすでに行われていたと言われています。鵜が自由に水辺で魚を捕獲し、その鵜を鵜匠が呼び寄せ行う漁法のひとつです。そのため鵜匠と鵜の信頼関係が通常の鵜飼よりもさらに大切になってきます。宇治の夏の風物詩となっています。
3.宇治神社で有名なうさぎ
約1700年前、宇治の氏神として古くから崇敬される応神天皇の皇子・菟道稚郎子命(うじのわきいらつこのみこと)が河内の国からこの土地に向かう途中で道に迷っていたところ、一羽のうさぎが現れ、何度も振り返りながら正しい道へと案内したという伝説があります。そのため、兎は神様の使いと伝えられています。宇治神社では“みかえり兎”と呼ばれ、境内にある3つあるうさぎの置物に巡り合えたら願い事が叶うといわれています。
京都・祇園にて日本画教室を主催する轡田幸恵氏より直接ご指導いただきます。
轡田氏は大学にて日本画を専攻後、制作の傍ら日本の伝統文化である西陣の着物に携わり、その後、京都の名だたる文化財の修復にも携わり、さまざまな日本の伝統文化や表現技法に携わる経験と実績の豊富な先生です。
プロフィール
小学生の頃に近所の子どもアトリエに通い始めたのが絵を描くきっかけとなりました。
楽しかったのでずっと続け、中高生の頃は油絵を、そして大学で日本画を専攻しました。漠然と日本画の雰囲気に魅力を感じていたのだと思います。
卒業後、西陣できものを作る仕事に就きました。その頃、書画を書くことに使う絹地の絹本(けんぽん)に描けるように掛け軸の制作を始めました。
その後、縁があって文化財の修復に携わることとなり、現在に至ります。
きものの柄を考えたり、日本画、掛け軸などの制作、また文化財では社寺仏閣の絵画や彫刻の彩など、色々と制作してきましたが、どれも勉強になる事が多く、何より面白くて楽しかったです。
そんなことを少しでもお伝えできればばと思います。
嵯峨美術短期大学日本画科卒業、連展会員(日本画)
近年の画歴
宜秋門金具墨差し 京都御所 金具墨差し/蓮華定院 扉絵新調/中山寺観音堂天井彩色/妙心寺仁王像彩色/鳳凰天井画新調/正恩寺、連水寺剝落止 補彩 雲表具絵画作成/極楽寺聖徳太子像彩色/浄土寺手水舎彫刻彩色/下鴨神社本殿獅子狛犬修復/東本願寺御影堂金具塗装/仁和寺金堂胡粉塗/平等院羅漠堂阿像修理/清水寺阿弥陀堂奥之院彩色/檜尾神社本殿保存修理/棚倉孫神社松梅寺額装絵画新調/八坂神社 大宮看板塗装/名草神社拝殿 本殿 塗装/宝厳寺観音堂彩色/熊野那智大社 拝殿 塗装/火走神社本殿塗装/延暦寺 根本中堂 塗装彩色
ツアーの詳細